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9.11ク-デターから1年を経過 

1. ク-デターから1年を経過して

 国内の政治的対立を解消するとして実施された昨年のクーデターであったが、1年間を通じて旧政権勢力と現体制との政治闘争は続き、これによって国内経済の萎縮が続いた。また、スラユット政権の経済政策、投資政策も明確さを欠いたことから、景気の減速を招いた。
国内政治は、民政移管に移る時期が近いことから先行きへの期待が高まっているが、政治的に安定するには時間がかかると見られる。

2. バーツ高でも輸出は伸びる

2007年当初の輸出は減速すると見られていた。その理由は、世界経済が減速すること、バーツ高が影響するとみられていた。なかでも国産原料を使う農産物、同加工品、繊維・衣料・靴など労働集約産業の製品に影響が大きいと見られた。
ところが、自動車の輸出など年度後半の伸びから1-10月の輸出は1251億ドルとなり、通年でも目標の12.5%増と見られる。

輸出先に見ると、米国を含むすべての輸出国で増加。特に、ラテンアメリカ、アフリカ向けが60%、56%と急増した。
製品分野で見ると、農産物、同加工品は20,1%、工業品は19.7%。製品別には、米、タピオカの輸出が伸びた。
工業製品では、自動車部品、電化製品、プラステイック製品、建設資材、宝石・ジュエリー、化粧品、印刷物が20%超の伸びを示した。これによってタイ経済に占める輸出の割合は65%となり、ますます対外情勢に左右される体質となっている。

3. 新車国内販売、前年を下回る

 景気の先行き不透明なことから、今年1月から10月までの新車販売は50万9186台と前年比5.7%マイナスを呈した。
内訳は、乗用車14万4445台、6.1%マイナス、商用車が36万4732台、5.5%マイナスとなった。中でもピックアップは31万9532台で9.5%マイナスとなった。
年間で見ると、国内販売は60-65万台程度となり、前年の68万台には届かない見込み。その分は、輸出がカバーしており、国内の生産台数は10月までで105万台となり、年間の生産台数は130万台を維持する見込みである。

一方、自動二輪は11月までの生産台数は276万台、6.72%マイナスであった。内訳はノックダウンCKDが138万台と前年比16.62%の増加となっている。国内販売向けの完成車が137万台と、22.42%のマイナスとなった。

# by tmobkk | 2007-10-01 17:20 | タイの動き  

バーツ高、影響が広がる

1. バーツ高、影響が広がる

 スラユット政権は7月24日の閣議で、中銀によるバーツ高対策を了承。個人の海外投資規制を解除し外貨預金を解禁する、
輸出業者が外貨収入を外貨のまま保有することを認めることになった。バーツ高は、7月になって上昇ペースが速まっており、1ドル33バーツの相場が34バーツまで下がるかどうか、不明。繊維業界など、輸出に依存する企業ではバーツ高の影響で工場閉鎖をするところも出てきた。例えば、製靴大手の上場会社、ユニオン・フットウエアは8月1日工場を閉鎖して自主廃業をすると発表。経営者はバーツ高で輸出採算が合わないと説明。4700人の労働者は、解雇保証金を支払って解雇する。タイ工業連盟
の製靴部会によると、中国およびベトナムとの競争激化でタイの製靴業界の世界でのシエアは下がっている、との見方が強まっている。一方、日本との経済連携協定が年内に正式発効することから、日本向けの輸出が増えると見る見方もある。
昨年の実績は、400万足、13億バーツが、協定発行後20%を伸びるという見方がある。


2. 新車販売、7ヶ月ぶりに増加

 景気の先行き不透明なことから、今年1月から新車販売は前年比割れを呈していたが、7月になって始めて前年比を上回った。8月14日JCC自動車部会発表の新車販売台数によると7月の新車販売台数は前年同期比1.0%増の51,158台と7ヶ月ぶりの
増加。乗用車が4.7%増の15,125台になった。1-7月の新車販売は前年同期比10.8%減の343,672台。乗用車は9.4%減、商用車は11.4%減であった。
タイ政府は、8月14日の閣議で代替燃料エタノールを20%混入した燃料で走る乗用車の物品税を5%減税すると発表。2008年1月から適用。例えば、2000CC以下、220馬力以下の乗用車は現状の30%の物品税が25%になる。1台あたり約1万バーツの減税。これによりトヨタ、ホンダなど各社は対応する新車を投入する予定。

3. 憲法改正案、8月19日に投票

 憲法起草議会は、8月19日の投票に向けたキャンペーンを開始。旧愛国党のグループが反対の動きを示しているが、世論調査では過半数が賛成するとみられる。8月3日発表のラムカムヘン大学の世論調査によると、賛成は55%、反対は9%で、未定は35%であった。反対派の理由;クーデター体制化で起草された憲法案を承認することは、クーデターを認めたことになる。
賛成派の理由;国民投票で承認されれば、民主主義に復帰できる。否決されれば、軍の政治関与は続く、など。

4. 旧愛国党、少数政党に合流

 旧愛国党の元下院議員は無名の政党である民力党に参加すると発表。年内に予定されている総選挙のスケジュールからすれば、新政党結成では間に合わず、既存政党を実質吸収して選挙準備にかかる予定。党首には、バンコク都知事を勤めたサマック氏が就任するとの見方もある。一部には、チャワリット元首相を担ぐ動きもある。


5. 外資規正法、撤回

 タイ政府は、タクシン前首相の外国人規正法の網を抜ける目的でノミニー(代理投資)を規制するため外国人事業法の改正案を1月9日に閣議了解をして国民立法議会に提出。政府の規制では手ぬるいとして、議会では改正案の規制をさらに強める動きも出たため、8月8日政府は「修正案」を出すという名目で、実質上改正案を撤回した。政府は、中小小売業を守る目的で卸売業小売業法案の制定、外資による短期取引の規制を検討しているが、外国企業の反対も多く、議会の規制強化で投資の遅れ、外国への投資が移ることを恐れた模様である。

# by tmobkk | 2007-08-01 17:22 | タイの動き  

エコカー計画閣議承認、物品税は17%に

1. エコカー計画閣議承認、物品税は17%に

 スラユット政府は、6月5日の閣議で国際標準に適合した省エネ車生産プロジェクト(エコカー計画)を承認した。物品税は09年10月から17%。対象となるのは1300cc以下のガソリン車と1400cc以下のデイーゼル車。既存の小型乗用車1500ccクラスは
税率30%との競合をさけるため、投資委員会BOIが策定したエコカー規格にエンジン排気量が追加された。 
チャロンポップ蔵相は、「個別物品税を17%にすることで、財政的には1台あたり7万バーツ失うが、エコカーを推進することで省エネ効果が期待できると」した。また、実際の販売価格は「50万バーツを上回ることは無いと信じている」と発言。
BOIは自動車メーカーに対して、組み立てだけではなくエンジン製造と部品製造も求めている。また、5年目以降の生産台数を年間10万台以上に引き上げるように求めている。BOIは近く詳細の投資奨励措置を公表する予定。一部のマスコミ報道によると、ホンダ、三菱、スズキがエコカーをかなり前向きに検討している。

エコカー規格;燃料5リットルで100km走行、1km走行時に二酸化炭素排出が120以下。欧州排ガス規制のユーロ4に準拠、国際安全基準のUNEC94および95またはそれ以上に準拠。
 

2. 政府が政党活動解禁

 スラユット政府は、閣議で政党の活動と結成を禁じた統治改革団布告15号の廃止を決定。法令案が立法議会で成立すれば、新政党の結成が可能となる。スラユット首相は、既存の政党は即座に活動ができるが新規政党の結成にはしばらく待つ必要が
あると説明ただし、政府は統治改革団布告布告27号の解散命令を受けた党の執行役員の5年間被選挙権剥奪の規定はそのまま。


3. 反クーデター集会、拡大せず

 5月30日の憲法裁判後にピープルズテレビ(PTV)を主体とする反クーデター集会が王宮前の広場で継続して開かれている。6月9日の集会を見てきた日本人リサーチャーMさんの報告によると、「まったく気合の入っていない集会で、驚いた」6月11日のJCC講演会にて「反クーデター集会は拡大するか」との質問に対して、タイ警察庁セリーピスット長官代行は「集会自体は、改革評議会CNSおよび現政権の後退を狙ったものだが、自主的な集まりか、お金をもらって集まっているのかわからない。警察としては、バンコク都と協力して集会のリーダーに法律を守るようにとお願いをしている」として第3者に扇動されないように、また違反があればすぐ検挙できるように写真とビデオをとっていると説明した上で、デモの拡大はないとの見方を表明された。


4. 年末年始の爆破事件のその後

6月11日のJCC講演会にて「年末年始の爆破事件は解決したのか」との質問に対して、タイ警察庁セリーピスット長官代行は爆発物がタイ南部3県の爆弾事件ににているが、政治的な要因が強い、ことを強調。監視カメラから割り出した犯人の逮捕状を出していることを説明されたが、犯人検挙との報告はないラマ5世の、警察官に与えられた指針を紹介。「警察は、悪人を捕らえるのは当然の責務を果たすことである。警察官の功績は、地域住民が安全に過ごせることである。犯罪や被害が起こらないのが最大の功績だ」との言葉を借りて、既にその後爆破事件は起こっていませんよと、説明をされた。
町のうわさでは同じ警察内部の抗争、または軍部と警察の対立から起こったもので、犯人検挙はうやむやになる、との声もきかれる。

5. タクシン前首相一族の資産、約2000億円凍結に

 スラユット政府の資産評価委員会は、6月11日タイ国内の金融機関に命じてタクシン前首相、夫人および成人したタクシンの子供たちの資産および昨年1月にシンコーポレーションをシンガポール政府系の投資会社テマサクに売却した口座21を凍結した。
今までスラユット政府および革命評議会CNSは、クーデターを起こした理由として前タクシン首相の首相の座を使って政府の資産をかすみ取ろうとした、と説明をしてきたが、資産凍結までにいたる確証がなかった。このほど資産評価委員会では、タクシン首相が関与した証拠が固まったとして資産凍結に踏み切ったもの。直ちにタクシン前首相の弁護士は異論を表明するとともに、スラユット政府の許可が無い場合でもタクシン前首相は近くタイに戻ることを説明。
親タクシングループなどの動きとそれを監視するスラユット政府および革命評議会CNSが注目をされる。

# by tmobkk | 2007-06-01 17:26 | タイの動き | Comments(0)  

日タイFTA締結4月3日署名


1. 日タイFTA締結4月3日署名 

4月3日、訪日中のスラユット首相は安部晋一首相と調印式に臨んだ。
 協定は2004年2月から交渉を開始して05年9月には大筋合意に達していた。その後、原産地ルールなど技術的な問題を解決
して06年4月に調印の予定であった。ところが、タイ側の政治的な混乱で延期されていた。06年9月の政変後に発足したスラユット
政権は早い段階で日タイ経済連携協定(JTEPA)の調印を進める方針を決定。プロセスの透明性を高めるため公聴会を開催、
議会の審議も重ねてきた。この過程で産業廃棄物のゴム処理場になるなど協定調印に反対するグリーンピースやFTAウオッチ
などのグループの主張がニュースになった。JTEPAは市民団体などの反対はあったもののタイの経済界からはタイの経済に
大きなメリットを生むと歓迎の発言が続いた。

2. 中銀、政策金利を0.5%追加利下げ、年3.5%に

 中銀は5月23日に開いた金融政策委員会の政策決定会合にて政策金利を0.5%下げた。これで、中銀は今年に入ってから
利下げは4回目。背景には、物価上昇の圧力が後退する中で、内需低迷の懸念が高まっていると判断。景気への配慮が理由。

3. 愛国党解党判決、民主党は無罪―5/30憲法法廷判決

 憲法法廷は、5月30日2006年の総選挙における憲法違反に問われていた5政党に対する判決を下した。この結果、当時の
与党、愛国党は違反を認めて解党命令と当時の当執行役員に対して5年間の選挙権、被選挙権停止にした。一方、野党の
民主党は違法行為が無かったとして無罪。その他の小政党は愛国党から援助を受けたとして、解党および執行役員の5年間の
選挙権、被選挙権停止が命じられた。これにより年内に予定されている総選挙で旧政権勢力の政権奪取の道は閉ざされたと
見られる。
 旧政権側は、大規模な抗議運動を自重しており、懸念された暴動は発生していない。このため、6月1日からの株式市場は、
政局安定と早期総選挙実施への期待から続伸。SEC平均株価は16.53ポイント上昇し、753.93ポイントとなった。
今後の政局に対する楽観論は広まったが、判決後の音なしに警戒する向きもある。

4. 1-4月の外国人観光客、欧米は増加、アジアは純減

 タイ観光公社(TAT)は、2007年1-4月の空港到着の外国人観光客は340万人、前年同期比で2.61%増加となった。
しかし、観光客の半分を占めるアジアからの旅行者は6.6%減となった。日本からは4.7%減の38万人、中国からは22.5%減の
25万人となったが、韓国からは増加。4.1%増の29万人となった。このアジアは減少する一方、欧州からの観光客は伸びている。
前年同期比12.9%増の111万人となった。
 TATでは、海外のイベントを削減する一方、広告キャンペーンを主要な市場で展開している。日本では、コマーシャルのほか
,NTTドコモと提携して、携帯電話ユーザー向けのSMSキャンペーンを展開している。

5. キングパワーとの免税店運営委託は無効

 タイエアポート社(AOT)が3月22日に開いた取締役会で重大な法律違反があったとして契約を破棄することを決定。
免税店独占運営会社のキングパワーは、92年民活法の規定を免れるため、意図的に投資額が10億円を下回るとしたが、
内閣法制局は投資額の算定では減価償却費を差し引くという細工をしており、実際の投資額は10億円を超えていたと指摘。
キングパワー社は、受注に当って法律違反はないと公正な取り扱いを求めている。現在、キングパワー社とAOTは免税店運営と
旅客ターミナルの商業スペースの運営で10年間の契約を締結している。AOTは契約の破棄を決めたが、既に営業中の免税店、
キングパワーの募集した物販飲食のテナントの営業は許可をしている。今後の処置は、最高検察庁のガイドラインがでるまで
待って決める方向。AOTの幹部は、契約破棄に伴う事後処理は1年以内に解決すると説明。

# by tmobkk | 2007-05-01 18:37 | タイの動き  

プリデイヤトーン副首相辞任とチャロンポップ蔵相


1. プリデイヤトーン副首相辞任とチャロンポップ蔵相

 スラユット政権で経済政策を担当したプリデイアトーン副首相・財務相が2月28日辞任。その理由としては、同氏の経済政策を
批判し続けてきた経済紙と一部の閣僚、前政権で副首相、財務相を努めたソムキット氏を「充足経済」普及の特使として
任命されたことに不快感を示していたこと。プリデイアヤトーン副首相の承認で実施した、資本規制や外国人事業法の見直し
など、株価の低迷を招き、経済運営については各方面から批判があったことも背景にある。そのようなこともあって、スラユット
政権の人気度も低下したことから、大幅な内閣改造をするとの意見もあったが、新しく蔵相にタイ開発経済研究所の
チャロンポップ所長を任命、パイブーン社会福祉省大臣を社会担当の副首相に任命、社会福祉省と保健省にそれぞれ
副大臣を置いたこと、など小幅な改造に終わった。

チャロンポップ蔵相は、ケンブリッジ大学経済学博士、UCLA講師、世銀エコノミストを経て、タイ開発経済研究所長に就任。
タクシン前首相の経済政策、昨年12月に実施された資本規制にも批判をしてきた。就任後の初会見でも、外国資本投資に
ついて考慮をすべきだとの発言もある。


2. 1-2月の自動車国内販売、トヨタ第3工場オープン

 タイトヨタが集計した2月の国内自動車販売は前年同期比18.4%マイナスの43,606台になった。1-2月合計でも19.5%マイナス
と76,557台になった。特に商用車の販売の落ち込みが大きく、1-2月の販売台数は22.9%マイナスの59,523台に終わった。
各社別の動きを見ると、マツダ単独では2694台、前年比131%の販売増であるが、日野自動車1300台、95.9%、ホンダ9465台、
95.1%、トヨタ34388台、87.3%、日産4763台、80.7%、いすず19572台、65.5%、三菱3746台、66.1%と各社とも前年比減であった。

自動車部会の見方によると、2007年の業界を取り巻く環境は、プラス要因として各社の新型車導入マイナス要因は治安の
悪化、燃料価格の高騰、政情不安など昨年と大きく変わることはない。

そのような環境にあってトヨタ自動車は3月13日、東部チャチュンサオ県のバンポー工場で開所式を行った。世界戦略車(IMV)
の1トンピックアップトラックを生産。年産能力は10万台、投資額は約150億バーツ。国内工場は3カ所目となり、合計年産能力は
55万台に拡大する。


3. 建設現場での労働者不足、外国人労働者で対応

 昨年から自動車部品業界、電機業界の増産と新工場の増設、都心でのマンション開発が続き、現場の労働者不足が続いて
いる。このため、ある解決法として外国人労働者の導入で対応しているのが現状。既に、タイ政府労働省は、ラオス政府、
カンボジア政府と協定を結び、指定した人材紹介会社経由ならば各国の労働者がタイ国内でワーカーとして働くことを認めて
いる。しかし、タイ人労働者の賃金を引き下げることの無い様に、最低賃金は守ることが原則。これでも不足することから近く
ミャンマー政府とも協定を結びミャンマー人を正規に導入する動きもでている。

一方、タイ人の労働者は汚い、きつい、厳しい現場作業を厭うことから、オフィスワーカーや頭脳労働者としてIT産業を志向する
動きもある。日本と同様に、少子高齢化が急速に進むことから、将来のタイ産業界を担うのは周辺国の労働者である、という
時代が来るかもしれない。


4. 外国人事業法、改正の動き、その後

 1月9日閣議で了承された外国人事業法FBA改正案への各国大使館、商工会議所から多くの働きかけがある。
まず、改正の骨子を説明すると以下の通り。
① 外国人が過半の議決権を握る企業を外国人企業に規定
② 外国人企業の定款変更で、外国人企業扱いになる既存企業は当局に届ければ、事業の継続を認める。
③ 規制業種リスト1.2は2年以内に外国人の議決権を是正、規制業種リスト3は是正不要
④ 合弁偽装など違法企業は90日以内に届けて、1年以内に是正
⑤ 法令違反の罰則を強化
⑥ 規制業種リスト3を部分見直し

これまでの流れは、1月9日に閣議決定されたことから、外国人商工会議所、ピーターファーレン会長は立法化半年延期を要請。
しかし、国民立法議会では、審議を開始した。

 2月9日に在バンコク、外国大使館意見書提出を提出して,FBA改正には大きな問題があると指摘している。理由としては、
次の通り。
① FBAはWTO違反
② 外資は、資本形態に変更をするなどして影響が出ると補償を要求
③ タイ政府の一部も、この改正案はWTO(GATT)ルールに違反することは承知している

日系社会での影響を計るため実施された調査(2007年2月回収269社)によると、次の通り。 
回答企業の内訳は製造業52%、非製造業44%、その他駐在員事務所など。

 BOI恩典取得の企業は47%あり、BOI恩典以外の事業を行っているのが18%の48社。ノミニー問題では13%の35社は
恐れがあるとしている。FBA規制対象事業を実施しているのは48%ある。また今まで規制外であった、資本金1億バーツ以上
で小売、卸売業を営むのは52社あった。
その後、政府と国民立法議会で原案の修正がなされようとしているが、「外国人」の認定について個別審査になる可能性も
でてきた。この問題は、次の日タイFTA協定とも関係するため、目が離せない。


5.  スラユット首相、日タイFTA調印に日本へ 

 日本政府とタイ政府が交渉をしてきた経済連携協定は、いよいよ締結への日程が大つめの段階になった。
2月20日開催の閣議で調印の方針を決定した。ただし、有害廃棄物とバイオ特許に関してタイ国内に懸念する声があるため
外務省にこの2点について日本側と協議することが指示された。これを受けて、日本側の交渉団長を務めたピサン外務省
副次官は2月25日から2週間日本を訪問して日本側と協議を重ねた。ピサン副次官は、日本に出発前は最善の努力をするが、
今日提案を修正するのは容易ではないとした。同次官は3月7日「経済連携締結に向けた懸念は解消された」と発言した。
日本から有害廃棄物とバイオ特許に関してタイの法律を優先する」との言質をとった,と説明。産業省の幹部は、協定に
この問題に関する覚書を1ページ追加するとした。

 これによって4月の訪日を予定しているスラユット首相は安部晋三首相と調印式に臨むことになる。
協定の主な内容は、貿易に関すること、人の移動に関すること、日本のタイ政府への協力事項が明示される。
タイ側が期待するのは、農産物の輸入拡大、タイ料理人、タイダンス、音楽、ムエタイの文化指導員の入国、就労が可能に
なることなど。介護福祉士に関しては、協定発行後-2年以内に結論を出す予定。

 日本が期待するのは、物の貿易の自由化。自動車、自動車部品、鉄鋼製品は引き下げまたは無税化への流れ。
投資、サービスの分野では、タイで生産された商品を製造業関連のグループ会社が行う卸、小売業は日本側資本が75%まで
認められる。 タイおよび日本で生産された商品の修理、メンテナンスを製造業および同一グループで扱う場合は日本資本が
60%まで認められる。物流業では51%、広告サービス業は50%まで日本資本が認められるなど、現在検討されている
外国人事業法の規制強化を、経済連携では緩和できる効果がある

# by tmobkk | 2007-03-01 18:50 | タイの動き