アビシット内閣不信任案、否決

目次
1.アビシット内閣不信任案、否決
2.マプタプット公害行政訴訟
3.景気刺激策第2弾、3年間で1.4兆バーツの投資
4.日系企業、雇用調整続く
5.周辺国から見たタイ


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1.アビシット内閣不信任案、現内閣生き延びる
野党プアタイ党は3月11日、上院議長に対してアビシット首相の罷免請求と、3月12日には下院副議長に対して首相と5名の大臣の不信任動議を提出した。
 対象の大臣と追求点
1)アビシット首相
①2006年の総選挙に民主党がボイコットしたこと
国王による首相任命を要求したこと
②軍の干渉により、国会で多数派を工作した
③PADとの連携、違法行為をしたPADとの連携関係にある
④政治献金の隠蔽
⑤領土主権の放棄、民主党政権下でプラビハーン遺跡への道路建設を容認
⑥選挙委員会によって選挙権を剥奪されたものを党員登録をした
⑦汚職行為 首相就任後にSMSメッセージで不特定の国民にメッセージを送った
   2)コーン財務相 資産隠匿疑惑
   3)カシット外相 空港占拠事件への関与
   4)チャワラット内相 汚職疑惑
   5)プラデイット副財務相 資産隠匿疑惑
   6)フンジョン副内相 選挙法違反
  野党の趣旨説明と該当大臣の回答をABACの世論調査によると、野党の支持は40%を下回り、アビシット首相の回答を支持するのは60%となっている。
  なお、野党内での一致がなく、また与党が一致したことから不信任動議は3月21日の採決で否決され、現内閣は生き延びることになった。


2.マプタプット公害行政訴訟
 ラヨン行政裁判所は3月3日にタイ東部臨海工業地帯マプタプット工業団地に接する周辺地区を汚染管理地区に指定していないのは行政の不作為行為として、国家環境委員会NEBに対して汚染管理地区に指定することを命じた。これを受けて、国家環境委員会(委員長・アピシット首相)は3月16日に判決容認を決めた。監視地域に指定した上で、問題解決に当たるのが適当と判断した。工場操業や新規投資に影響する可能性が懸念されている。判決容認により、環境委は60日以内に団地と周辺を公害監視地域に指定したと宣言する必要がある。
この決定により、影響を受けるのは次の事業。
PTTグループ(国家石油化学コンビナート関連で24の投資プロジェクト)
サイアム・セメントグループの8つのプロジェクトなど。

3.景気刺激策、第2弾
 政府は3月17日、景気刺激策第2弾を発表した。
第1弾が失業者、低所得者支援など短期策が中心だったのに対し、第2弾はインフラ整備事業への公共投資など長期策を中心とする。2009年10月から3年間で1.4兆バーツ(約5兆円)を投資して、鉄道、道路、水利の整備、学校、病院、住宅の建設などを行い、景気刺激、雇用創出につなげる考え。
予定する1兆4,000億バーツを年度ごとに平均して拠出した場合、単年度では4,667億バーツとなり、国内総生産(GDP)比は5.2%に上る。国家経済社会開発委員会(NESDB)の今年のGDP予測は9兆128億バーツ。

4.日系企業の雇用調整続く
 このほどバンコク日本人商工会議所が、企業の雇用調整について緊急調査を実施した結果が公表された。一部抜粋して紹介すると次の通り。
1)業務委託の契約満了に伴う、契約解除(雇い止め)、新規雇用中止、試用期間中の解雇など労働者の増加をやめる動きが、すでに実施したもの、また予定されているものがある。
2)残業、休日出勤の削減、年休消化、操業短縮、希望退職、日本人の削減なども進んでいる。操業短縮、すでに実施済み15.9%、今後の予定8.7%。
3)合意の上、賃下げを実施したところもあり(3.1%)また、今後予定している会社もある(5.0%)しかし、内容を見ると、管理者が中心で、一般従業員の賃下げを実施した会社はほとんどない。
4)正規従業員の解雇に踏み切った会社もあり(5.0%)今後予定している会社も同様にある(5.0%)
5)最後に、雇用調整によって労使紛争になった事例もある(2.5%)日系企業ではないが、会社前の公共道路の封鎖をされた事例については、企業から法律遵守を求めるべきだとの意見もある。



 5.周辺国から見たタイ
 先月後半からベトナム、ラオス、カンボジアを訪問してきた。
 たとえば、道路や鉄道を見るとタイが如何に進んでいるのかわかる。
 鉄道もベトナムはまだしも、ラオスは3月5日にタイのノンカイから鉄道が3.5km延伸して、初めて鉄道を使って海外に出ることが可能になった。また、カンボジアも内戦など国内の治安が安定したことから、フランス植民地化でタイとつながった鉄道の復旧が進んでいる。
 道路については、20年の格差があると思える。海外からの資金を導入して有料道路を作ってきたタイ、ようやく最近になって援助ではなく、資金借り入れを行って道路建設をする動きもある。このようなインフラの整備事情を考えるとタイが今まで国際社会と上手に付き合ってきた成果だともいえる。
 今後のタイは、マプタプット地区の公害問題に見るように、NGO、地域住民に開発の成否を具体的に説明して賛同を得る時代となった。





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ベトナムの南北を結ぶ鉄道(HCM郊外にて)

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ベトナムの有料道路入り口(HCM周辺)

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タイ・バンコクの有料道路入り口
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by tmobkk | 2009-03-22 15:47 | タイの動き | Comments(0)  

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