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スマトラ沖地震特集


12/30-1/1の短期間でしたが、次男とPhuketからPhanga県に参りました。現地ではPhuket日本会の皆様と協力して、
日本大使館領事部Phuket臨時出張所の指揮の下でPhuket空港での津波被災者支援デスク設置のお手伝いをして来ました。
以下は、ささやかなボランテイア活動でしたがその際の目にした状況と、今後の日本人の支援のあり方を考えさせられたことを
報告です。

1. Phuketの海岸沿いの被害状況と100m入った市街地との格差

12/30(木)14:00被災者の一人からの要請で、倒れたホテルからかばんを持ち出すように要請を受ける。
Patong Beachに出かけけて目にしたものは、破壊された町並み。海よりの100mは全滅。
郵便局、スターバックスコーヒー、ホテルなどは躯体を残して内部の什器備品に至るまで波にさらわれる。
勿論、尋ねたホテルも壊滅。後片付けの従業員に尋ねても何も無い。壊れた車、打ち上げられた船、
4日目となると建設機械で残ったものを壊して再建の準備。建設の大型ごみは大型トラックで搬送中。
海沿いの壊滅状態から一歩、内陸に入ると従来の繁華街がそのまま。

2. Phanga県のKhao Lakで目にしたもの

12/31(金)Phuket島からPhang-Nga県に入ると、国道4号線の周囲は一変する。海岸近くは津波で全滅した村落もある。
一方、少し高いところにある村やホテルはそのまま営業している。数箇所の池では、水をくみ出したり、
船を出したりダイバーも潜って遺体が無いか探している。
海岸から1km近く入った森の近くに打ち上げられた沿海巡視艇も見つけた。
それだけ大きな津波の威力で内陸まで潮が届いたようだ。
海岸から300mほど内陸を走っていた車がまた内陸に数百mも運ばれて物もある。

津波で亡くなった方の遺体は、Phuket, Krabi, KhaoLakの犠牲者の遺体集中保管場所に集められるが
KhaoLakでは一つの寺院だけでも収容できず、3箇所もの場所に点在して安置してあった。

棺おけの数も足りず、棺おけに入れる人手も足らない。遺体は袋に入ったままのものもあり、棺おけを
トラックで運び入れている。予告をされていたためマスクとその中にガーゼをしたが、
遺体の異臭は避けられない。WHOの感染症の警告もあったことから消毒薬が届けてあり、
遺体にも散布をしている様子。

ゴム手袋を届けると、タイ赤十字の係員から、名前と住所を記入するようにとのこと。

医師や看護婦、助手などタイ人が黙々と遺体の処理をしている。終わったものは袋から特別に作った棺おけ
(通常の棺おけでは入りきらないため特別にベニヤで作ったもの)災害発生から4日も経過して、
伝染病の恐れも出たことからタイ政府は遺体を火葬処理すると各国政府に通告をしたところ、
大きな反対が出た。イスラムの教えでは火葬はありえないことから一部は土葬、
おそらく外国人と思われるものは冷凍保管。

冷凍保管することになった遺体の写真と、DNA鑑定をするため皮膚の一部をとっている場面にも出会った。
頭の無い遺体。小腸が飛び出た遺体など見つめていることが出来ない。行方不明者のさがすために
デジタル写真のDATA Baseも作成をされているらしいが、その一部は寺院の一角に設置したテントで紹介をしている。

津波に飲み込まれて、海の砂でサンドペーパーを掛けられ顔の様相も不明なもの。
水で膨らんで男女区別も不明なもの。全身の血管が破裂したのか全身が真っ黒になったものなど、
仏教の地獄絵がそのものと言える遺体の姿。水死体のすべてが、足は股を開き、
手を開いてこの世からさよならをしている。
タイの仏教の教えでは、亡くなって3日間は自分自身が死んだことすらわからないとの事。

3. 日本政府、大使館の被災者支援体制

各国の大使館との違いを紹介する。まず、日本に帰国するための証明書の発行には
902バーツが必要。2バーツは紙代相当。各国は無料。

日本政府は、津波でパスポートがなくなった状態はお金も同様に津波で無くなっていると承知
していることから、当初6000バーツの貸付金を今回は17,000バーツまで貸し付けることになった。

主要国は、帰国するためのチャーター便も用意して無償で帰国できるように配慮したが、
日本政府はタイ政府が用意したPhuketからBangkokまでの飛行機の案内をした。

行方不明者の応対を大使館員がすることは、相当時間がとられる。1名の不明者だけでも最低
2日間も対応することになる。外務省は30名もの職員を派遣して大きな貢献をしたと考えたようだが
行方不明者の数値を見間違ったのではないか。また、報道機関も、日本人の犠牲者の数を少なめに
みて最終的には数百から千名前後に上るかもしれないことはひたすら抑えた報道になっている。
先程紹介した寺院もNHKなど日本のマスコミは取材に行ったようだがその後のニュースには一部しか映像が出ていない。

少ない出張者で対応する日本外務省は、少ない人員で深夜まで勤務を強いるため新しい発想が
湧かないのではないか。上記の、帰国証明の件も、被災者のための特別配慮が出来ない。

 ここで外務省のルールを変えるほどの権限をもった幹部が対処すれば、どうだろうか?
無料で帰国証明を発行して、誰が非難をするのであろうか?

 (その後、日本国内でも問題になり、有料化を見直して、災害時には無料にすることも可能になった)

4. Phuket、Bangkok空港での各国大使館の動き

12/30-1/1PHUKET空港で日本の国旗を掲げて応援をしていると次々と各国の旗も見える。
英国、オーストラリア、ドイツなど。

 英国の大使館は、Phuket,Kaolak、Krabiの3箇所に大使館員を置いて対応。
英国の応対振りを紹介する。

① 現状の津波被災者の現状を紹介

② 地震被災者の対応方法について、簡単に説明する資料を配布。

③ 各国と協力してPhuket市役所と空港,病院を巡回するシャトルバスの運行

④ 対応は周辺国(香港)から大使館員が9名派遣され、3名ずつシフトを組んで対応。

⑤ 本体は、ホテルにおいて、臨時出張所は市役所、空港,Khaolak, Krabiの3箇所。

 オーストラリア大使館では、各地からの食料、医薬品などの救援物資が届いていることを紹介して、必要があれば申し出てほしいとホームページで紹介。ドイツもほぼ同様。

カナダ大使館では大使自らPhuketに出向いて率先して現場での対応を指示している。

1/1(土)の夜、バンコクに戻る。

国内線のゲート出口にPhuketからの便が着くと、イタリア、ドイツ、英国、オーストラリア、
フィンランド、など北欧各国などの国旗が出迎えている。アジアでは韓国の旗もあった。
各国へ無償で帰国をするための便の手配があり、それまでは市内のホテルなどで休憩する場所を提供している。

5. 感想

海外で地震や津波など天災に会った場合の政府の支援とは何だろうか。
困った国民を手助けするのが国家ではないのだろうか?

日本の一部の報道では、遊びに行った者を助けるのか、との報道があったと聞いたが、
これは外務省などが実施する支援の枠を狭めたのではないだろうか。

たとえ、遊びであろうが、仕事であろうが天災にあった人一人が助かると、国にとっては大きな財産が
助かったことになる。その後、数十年の働きと国家への感謝の気持ちが続けばどれだけ有益か、考えられないのだろうか?

1/2(日)に小泉首相から日本政府は今回の震災及び津波被災国に総額5億ドルの支援を行うと
表明がなされたが、当初は緊急物資として3000万ドルの支援と自衛艦の派遣、医療団の派遣のみであった。
また、その後、日系企業も津波被災者に対して各種の支援を行ってきているのは事実である。

Phuketでタイの方から伺った支援のあり方など、日本から押し付けの支援の方法ではなく、現地の
被災者の声を生かした支援が出来ないか、一緒に考えて行きたい。

by tmobkk | 2005-01-01 19:11 | タイの動き  

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